【コラム】富樫鉄火のグル新 第322回「おとな」不在の開会式

 東京五輪の開会式当日、23日(金)の東京新聞・朝刊に、看過できない記事が載った。
 見出しは〈有力者から来る「〇〇案件」に翻弄/開会式関係者が証言/五輪の闇 想像以上/演出人事説明「全部ウソ」〉と、すごい迫力だ。一種の内部告発である。
 こんな記事を開会式当日に載せられるのは、東京新聞だけだろう。同紙は、ほかの新聞社とちがって、五輪のスポンサーでもパートナーでもないのだ(よって、同紙を読んでいるかいないかで、五輪の内幕に関する認識は、おおきく変わる)。

 その記事によれば――開会式の演目の流れと出演者を固めるたびに〈組織委や都の有力な関係者やJOCサイドから、唐突に有名人などの主演依頼が下りてくる。部内では有力者ごとに「〇〇案件」とささやかれた〉。
 告発者は〈有力者が便宜を図った依頼は絶対。その度、無理やり演目のストーリーをいじって当てはめた〉と語る。
 いままで、演出担当は最初の野村萬斎を筆頭に、何人も変わってきた。そのたびに組織委は交代理由を説明してきたが、これも全部ウソだという。実際には、かなり早い時点から、(女性タレントを豚に見立てて引責辞任する)大手代理店出身のSディレクターが入り込んで仕切っていた。その間、本来の演出家たちには(事実上、馘首されたことが)何も知らされず、あまりの不信感に振付師のM氏などは自ら辞任したという。
 この告発者は〈罪悪感にかられ続け〉た挙句〈社会と矛盾することばかりしている。五輪がもう嫌いになった〉と嘆いている。

 これでおわかりだろう、あの開会式が、関連性のない、ぶつ切り演目の寄せ集めになった理由が。

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