【コラム】富樫鉄火のグル新 第310回 リヒャルト・シュトラウスの思い出

東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の第153回定期演奏会が中止となった(4月29日)。3回目の「緊急事態宣言」で、会場の東京芸術劇場が休館となったのだ。昨年の4月と6月につづく3回目の中止だ。今回の指揮者、飯森範親(来日不能となったユベール・スダーンの代役)は、昨年4月も登壇予定だった。
 この〈金魚の糞〉のようにダラダラとつづく宣言やら措置については、いいたいことが山ほどあるのだが、それはまた別の機会に。

 今回中止になった演奏会は、リヒャルト・シュトラウス特集だった。
 わたしはプログラム解説を書いたのだが、昨年に引き続き、これまたボツとなってしまった(ただ、今回は、すでにデザイン版下も完成しており、TKWO事務局がサイトにアップしてくれているので、興味のある方は、ご覧ください)。
 せっかくなので、リヒャルト・シュトラウスに関する思い出を少々。
 
 リヒャルトの曲は、中学のころから交響詩などをLPで聴いていたが、初めてナマで聴いたのは「吹奏楽」だった。1979年度の全日本吹奏楽コンクール(全国大会)、千葉県立銚子商業高等学校(小澤俊朗・指揮)の演奏である。曲は、楽劇《サロメ》~〈7つのヴェールの踊り〉。会場は、いまはなき普門館。当時、わたしは大学生だった。
 このときの衝撃、感動、驚愕は、いまでも忘れない。
 こんな音楽を平然と演奏している銚子商業とは、なにものなのか、開いた口がふさがらなかった(もちろん金賞。たしか、《サロメ》の全国大会初演だったはず)。

 これは一種の〈ストリップ音楽〉である。

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