【コラム】富樫鉄火のグル新 第296回 ありがとう、山下国俊さん

 編曲家の山下国俊さんが亡くなった。
 所属する音楽出版社「ミュージックエイト」社(以後「M8社」)のサイトによれば、昨年12月31日に、胃がんのため逝去されたという。享年76。
 おそらく、吹奏楽に携わっていて、「山下国俊編曲」と記された楽譜を演奏したことのないひとは、少ないのではないか。
 ご本人は謙虚な方で、めったに表に出なかった。しかも、キャリアが長く、むかしからいまに至るまで、常に名前を見るので「実在する人物なのか」「複数アレンジャーの合体ペンネームでは」なんて、都市伝説まがいの冗談まで飛び交っていた。

 M8社は、1963年創業、吹奏楽の楽譜を中心とする音楽出版社の老舗である。
 青森の八戸高校でトランペットを吹いていた山下国俊さんは、1960年に上京、働きながら音楽を勉強するため、当時二部のあった国立音楽大学へ進む(最終的に中退したらしい)。
 在学中に、M8創業者の助安由吉氏(元・陸上自衛隊東部方面音楽隊員)と知り合い、同社の吹奏楽アレンジを担当するようになる。

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