【コラム】富樫鉄火のグル新 第285回 無料配信でいいのか。

 今年度は中止になったが、毎年、春が過ぎ、吹奏楽コンクールの季節が迫ってくると、SNS上に、中高生たちの似たような投稿が増える。
「うちの学校は、今年のコンクール自由曲が〇〇〇〇という曲に決まったのですが、どこで聴けますか」
 これはYOUTUBEなどのネット上で、「無料」で聴ける音源がどこにあるか、教えてくれと言っているのである。「収録されたCDがあるか」「どこから発売されているのか」といった問いは、まずない。

 いまや、音楽も映像もニュースも会話も、すべてはデジタルで済むようになり、しかも、かなりのものが(違法も含めて)無料でネット上にあふれかえっている。よって人々は(特に若い子たちが)「著作物」に対価を支払う感覚を失いつつある。本も、たとえ半年待ちでもいいから、絶対に書店では購入せず、図書館で借りようとするひとがいる。
 その傾向は、昨今のコロナによる自粛在宅で、一挙に強まったような気がする。

 いま(特にGW期間中は)、ネット上は無料配信の天国である。検索で「無料配信」と入力すると、いかに多いか、わかると思う。映画、ドラマ、アニメ、スポーツ、舞台、能、落語、クラシック音楽、ポップス、オペラ、バレエ、美術展、小説、漫画……およそ、わたしたちの周囲にあるエンタテインメントの大半に、いま、「無料」で接することができる。
 これが、自粛で在宅している人々へのサービスであり、かつ、在宅解除後もファンになってもらうための下地づくりだったことはわかる。しかし、わたしは、やりすぎだと思う。

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