■五十嵐先生、教えてくれっチョ!【特別篇】「コロナなんかに負けないぞ!」 今やろう!「笑顔で吹奏楽活動を再スタートする日のために」06

Text:五十嵐 清(東京清和吹奏楽団常任指揮者/元東京消防庁音楽隊長)

第6回 うちトレ(その2)ブレスのチェックとコントロール(イメージトレーニング)

いつもなら・・・4月、新学期の今頃は新入生を迎えて活気がある時期なのに・・・

なーんてネガティブにならずに、バタバタしてない余裕のある今だからこそ、これまで当たり前としてやってきた練習内容などを整理して、来るべき新入生を迎えるときに、慌てずアタフタしないように準備しましょう。

今が踏ん張り時です。少しでも早く学校が再開できて学校生活や勉強が軌道に乗ってきたら、部活動が再開できます。自分たちのためです一致団結して、個人個人が、「外出しない。手洗いうがいを励行する。規則正しい生活を送り健康を維持する」など、コロナの感染拡大防止対策を徹底して行いましょう。

今回も“うちトレ”。家(うち)できるトレーニングです。

1.ブレストレーニング
第3回「管楽器で音を出す(その1)」で紹介した深呼吸の内容を楽器で吹奏するイメージでの呼吸のトレーニングをします。
メトロノームを60にセットして、何回か繰り返します。(自分のペースで回数は決めてください)
姿勢は、立って頭を首に乗せる。肩の力を抜く。背中を自然なカーブにするなど自然体になるよう上半身をリラックスする。
ゆっくり息を吐き出しましょう。肺にある空気を一度空にします。
丹田というへその握りこぶし一つ下あたりの手を当てて意識させます。
上半身全体(特に背中の下あたり)が膨らむイメージで吸い込みます。意図的にお腹を膨らましたりへこませたりすることではありませんので注意してください。
① 拍(時間)を決めて
・4拍かけて吸う。4拍かけて吐く。リラックス4拍。
・4拍かけて吸う。2拍間維持して、4拍かけて吐く。リラックス4拍。
・4拍かけて吸う。1拍で吐く。リラックス4拍。
・4拍かけて吸う。2拍間維持して、1拍で吐く。リラックス4拍。
・1拍で吸う。1拍で一気に吐く。リラックス2~4拍。
・1拍で吸う。4拍かけて吐く。リラックス4拍。
② 息を見て
次に同じエクササイズを、片手でA4判の大きさの紙1枚を軽くつまみ持ち、
口の前30cm程度離して行います。(この時へそ下に手は外しても構いません)
息がどの様に出ているか、紙の揺れや安定感を実際に目で確認する、見える(可視)化です。
③ 息を音で聞いて
/SU/の発音を使って、摩擦音で少し息に抵抗感をつけて、大きく音を出して、聞きながら(可聴化)のエクササイズです。(この練習では肩などに力が入ったり、スーと音を無理に出すと“フラっ”となりますので注意してください)

2.ブレスコントロール
腕の伸縮を使ったイメージトレーニング
・口の手前から手のひらに息を吹きかけるようにして、
①腕を下方向に伸ばしていく。
②腕を目線より上げて伸ばしていく。
③腕を伸縮させて徐々に遠ざけていく。
どうですか?何か息の出し方や長さなどの変化を感じませんでしたか?
では、息を出しながら、右手でバイオリンの弓を上下に動かような動作をしてみてください。
コツみたいなもの感じられましたか?
管楽器の息の出し方は弦楽器のボウイング(弓の動き)でいうと、ダウンのみ(上記の①)になりがちです。
ダウン、アップをイメージ・意識した「息の抑揚」を付けたブレスコントロールはロングトーン、楽曲を演奏する時に重要です。
では、エクササイズ。
メトロノーム60のテンポで、4拍で吸って(吸う拍数も変化させてください)
4、8、12、16拍と長さを変えてロングトーンをするイメージで息を出してみてください。
この時腕の伸縮を実際につけた時、頭で弦楽器のボウイングをイメージするなど工夫をして息のコントロールを会得してください。
深呼吸から呼吸法の練習では、肺に入っている空気を空にすることからスタートし、その後も吐き切るようにしています。これは呼吸を意識して行い、身体のバランスや必要な筋肉を使うことが目的です。しかし、普段の生活では呼吸は無意識にしていて、肺の中の空気を全て吐き切ることはせずに、肺に空気を残してある状態で次の吸気をします。
実際の曲の演奏の時も、肺の中の空気を息継ぎ(ブレス)ごとに全て出し切り、ニュートラルの状態にしているわけではありません。曲が進むにつれて、どんどん息が苦しくなり吸えなくなります。「息が浅くなる、上がる」と言われていますが当然のことなので、必ずニュートラルにするのではありません。例えばジョギングをしていると、走りこんでくると息が荒くなってきて、スタート時点に戻すことは困難です。この息が上がったことで、時間を経過させ目標の距離を走ることができたという達成感などを感じると思います。音楽でいうと、楽曲を演奏して時間とともに音楽の緊張や高揚を感じクライマックスに到達した達成感などを味わえるのではないでしょうか?
「楽曲フレーズのブレスごとの息の吸う量は出来るだけ同じにし、深く吸い込む」と私も指導していますが、無理をして速く吸おうとしてのどに力が入り「ハぁぁ」と音がして本当は吸い込めていないなどが見られます。管楽器を演奏すのは、特別な呼吸法ではなく普段の呼吸の拡大版と考えて、立って頭を首に乗せる。肩の力を抜く。背中を自然なカーブにするなど自然体の姿勢を心がけることです。
金管楽器の人で手元にマウスピースがあるのならば、
呼吸法の練習:①拍(時間)を決めてとロングトーンのエクササイズをマウスピースでやってみてください。マウスピースの持ち方は、前回(第5回)にありますので確認してください。
そして、その次に、前回(第5回)のバズィング練習の3)~5)をマウスピースバズィングでやってみてください。
ポイント→この時“ぽっぺた”の裏(内)側と“歯”を「張り付ける」ようにすると、口の中の圧力が一定に保たれ息が安定して出せます。
・実音F(チューニングB♭の4度下)の音程を出してみよう。
  音の出だしはあまり気にせず、Fの音を丁寧に出してみましょう。
・感じが掴めたら、Fを基準に半音ずつ音程を下げていきます。(リップスラー)
F→E、F→E♭、F→D、~B♭まで。
・B♭(チューニング音)の音程をだして、
B♭→A、B♭→A♭、B♭→G、~オクターブ下のB♭まで。
更にもう一つ。
フェイスタオルを用意して、2つ折りにして長方形を作ります。長辺にマウスピースをグルグルと巻き込みます。マウスピースの先端にあるタオルを少し折り曲げて手で押さえます。(折り曲げ方を変えると抵抗感が変わりますので自身で調整)
これは私が30年以上指導に取り入れている「お手軽サイレントマウスピース」です。
この状態で上のエクサイサイズをやってみてください。
実際の楽器で吹いているような抵抗感を感じてのトレーニングになります。
(現在は市販でサイレントマウスピースやサイレントブラスも販売させています)
今回も、うちトレ、エクササイズを紹介しました。
コロナ対策と同じで、地道に実行しなければ効果はありません。楽器が思いっきり演奏できるその日を迎えるためにコツコツとやれることを見つけてみましょう。アイデア次第で楽しい練習方法が見つかります。
やってみて、こんなアイデアが浮かんだ、実行してみて発見があった。少しわからないことがあったなど、このQ&Aコーナー「教えてくれっチョ!」に投稿してください。皆さんで共有していきましょう。
☆おまけコラム:楽器は素晴らしい相棒。
両手やメガホンを口に当てて声を出したことがあると思います。声が集中し方向が定まり音量も増え遠くまで聞こえます。メガホンがスピーカーの役割をしています。
管楽器は、マウスピース内で集められた振動が管の中の空気を伝わりベルから外気に放たれます。自分自身出した音をより方向性を定めて拡声してくれるスピーカーなのです。楽器は自分の音楽を確実に忠実に伝えてくれる素晴らしい相棒です。
私はこんな思いを込めて演奏していますと楽器という素晴らしい相棒の助けを借りて表現していきましょう。

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