
新型コロナ禍で、演奏会や芝居、スポーツなどの「無観客」実施が増えた(その後の「緊急事態宣言」で、それさえもなくなったが)。
先日、この3月に上演予定ながら中止となった、国立劇場『義経千本桜』通しの、無観客映像がネットで公開され、あっという間に10万回再生を突破したという。
これは、菊之助が、知盛・権太・狐忠信の3役を完役する、たいへん挑戦的な舞台として話題になっていた(権太のみ初役)。ほかに、道行の静御前を時蔵、義経を鴈治郎など。
全体を3部に分け(二段目=Aプロ、三段目=Bプロ、四段目=Cプロ)、一か月の間、1日に2プロずつ、日によって入れ替えながら上演する。しかも会場が、通常は文楽などを上演する小劇場(522席)なので、大劇場や歌舞伎座とはちがい、役者の息吹を目の前で感じられるとあって、芝居好きにはたまらない公演となるはずだった。
もちろんわたしも、3プロ通し券を買って、楽しみにしていた。
結局、公演は中止となったのだが、その間、ゲネプロのように無観客で完全上演され、国立劇場は、その模様を映像におさめていた。それも「記録」用収録ではなく、最初から配信公開を前提とした、複数カメラによる収録だった。実際、菊之助自身、国立劇場のサイトでこう述べている。