【コラム】富樫鉄火のグル新 第279回 続・余分なきマスクの余聞

 前回、海外で「マスク」(Mask/Masque)といえば、「仮面」「仮面劇」の意味合いが強かったと書いた。
 吹奏楽の世界でも「マスク」を題材とした曲は多い。

 いちばん知られているのは、おそらく、ウィリアム・フランシス・マクベス(1933~2012)作曲の《マスク》だろう。原題は《Masque》なので、正確に訳せば《仮面劇》となる。
 1967年に、アーカンソー州立大学にアート・センターが落成したのを記念して委嘱・作曲された。ここのシアターで仮面劇が上演されるとの“幻想”を音楽にしたものだ。
 いったい、この曲のどこが「仮面劇」なのか、よくわからないのだが、とにかくカッコいい曲で、1970~80年代にかけて、コンクールで大人気だった。特に、1972年に全国大会初演で金賞を受賞した福岡県立嘉穂高校の名演は、いまでも語り草である。

 マクベスといえば、古参の吹奏楽人間にとっては、なんといっても“マクベスのピラミッド”理論である。彼は、吹奏楽における音量や響きのバランスを正三角形のピラミッドにたとえ、下三分の一が「低音域」、真ん中の三分の一が「中音域」、最上部が「高音域」のイメージが理想的だ、と提唱したのであった。

 1978年は、全日本吹奏楽連盟の創立40周年だった。それを記念して、この年の全日本吹奏楽コンクール課題曲4曲中、2曲が、アメリカの人気作曲家に委嘱された

【この続きを読む】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください