【コラム】富樫鉄火のグル新 第269回 『カサンドラ・クロス』と『ペスト』

 まったくの雑談であります。
 昨今の新型肺炎の騒ぎで、ある世代より上に、映画『カサンドラ・クロス』(ジョルジ・パン・コスマトス監督、1976年)を思い出したひとも多いと思う。1970年代に大流行したパニック映画のひとつで、欧米の大スターが大挙出演、世界中で大ヒットした。
 ジェリー・ゴールドスミス(1929~2004)の音楽も素晴らしく、彼の代表作のひとつといっても過言ではないと思う。

 ジュネーヴのWHO本部に、3人のテロリストが侵入し、ガードマンと銃撃戦になる。2人は射殺されるが、残る1人が、実験用にアメリカが保存していた強力な細菌兵器の容器を破壊してしまい、感染したまま逃走する。その男が、ストックホルム行きの大陸横断鉄道へ乗り込んだことから、事態は深刻化する。

 列車には1,000人もの乗客がいた。やがて犯人に症状があらわれ、あっという間に死亡する。おそろしい感染力と威力だった。乗客にも、次々と症状があらわれる。
 焦ったアメリカ政府は、列車を密閉封鎖し、ポーランドの廃線に追い込む。その先にはすでに朽ちかけた「カサンドラ・クロッシング橋梁」がある。事故に見せかけて、列車もろとも渓谷に落下させて闇に葬ろうというのだ。
 それを察知した乗客たちは、結束して、なんとか「カサンドラ・クロッシング」を回避しようと奮闘するのだが……。

 途中、ニュルンベルク駅で、深夜に止められた列車が、完全防護の兵士たちによってすべての窓やドアを密閉、完全封鎖されるシーンがある。CGのない時代、手づくりの実写で撮影された画面は、まさに最近、ニュース映像で見る中国や、足止めクルーズ船の風景にそっくりで、映画の予言性に驚かされた。

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