【コラム】富樫鉄火のグル新 第249回 映画『天気の子』

 明治生まれのわたしの祖母は、人気絶頂のピンクレディーやキャンディーズをTVで観ては、「みんな同じに見えて、どれがどの子だか、わからないよ」と、よく苦笑していた。
 当時、中高生だったわたしは、さすがに顔と名前の区別がついたが、先日、話題のアニメ映画『天気の子』(新海誠監督)を観て、祖母の戸惑いがわかるような気がした。わたしは、あのアニメの登場人物たちを見ていて、時折、区別がつかなくなった。みんなひょろ長い手足で、目が大きく、ジャコメッティの人物彫刻が薄皮をまとって動いているような、画一化されたキャラクターばかりである。
 わたしは、この監督の作品は、前作『君の名は。』を含めて2~3本しか観ていないのだが、すべて観てきた知人にいわせると、もともと新海誠作品にはキャラクター設定がゆるいというか、あまり入れ込まない傾向があり、今回は、それがさらに顕著なのだそうだ。

 ところが、それに反して、周囲の風景や設定は驚くほど具体的なのだ。
 たとえば、ヒロインの少女が住んでいるアパートは、田端駅南口から不動坂に至る先にある。この周辺は、

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