
話題の映画『新聞記者』(藤井道人監督)を観た。
東京新聞の望月衣塑子記者の同名著書(角川新書)が原案。これに、「伊藤詩織さん“準強姦”訴訟」「前川喜平氏“出会い系バー”騒動」らしき出来事をからませながら、「森友・加計学園問題」を思わせる事件に迫る女性新聞記者(日韓ハーフの帰国子女)と、彼女に協力する内閣調査室員(外務省からの出向)を描く、政治サスペンスである。
脚本がよくできている。一介の社会部記者と内調室員がいかにして出会い、共同歩調に至るのか、映画ならではの展開で、それなりに説得力がある。
それでも、わたしは、観終わった後、あと味の悪さを感ぜずにはいられなかった。
国家に対抗する新聞記者が主人公なのだから、当然、政権は「悪」に描かれている。それどころか、この映画によれば、内閣は陰謀の巣窟で、まるでナチスの再来である。
だが、そういう点が不満だったのではない(そもそも、わたしは、安倍政権があまり好きではない)。
製作側に、どこか、腰が引けた姿勢が見受けられるのだ。
確かにSNS上は「よくぞここまで描いた」といった主旨の投稿だらけで、絶賛の嵐である。
だが、