【コラム】富樫鉄火のグル新 第242回 岩波ホールの50年(上)

 今年、創立50周年を迎えた岩波ホールで『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』が上映されている。ドキュメンタリ映画の巨匠、フレデリック・ワイズマン(今年、89歳)が、ニューヨーク公共図書館(NYPL)の活動を記録したものだ。

 ただし、一筋縄でいく映画ではない。
 宣伝文に「世界で最も有名な図書館のひとつ、その舞台裏へ」とあるが、物理的な「図書館の裏側」は、ほんの少ししか出てこない。それどころか「本」そのものが、ほとんど登場しないのだ。
 全3時間半(休憩10分)中、大半を占めるのが、NYPLの「啓蒙活動」の様子である。

 とにかく、その多彩さに、驚かされる。
 講演、著者トーク、読書会、コンサート、就職支援、障害者のための住宅支援、デジタル機器の貸し出し、中国系市民のためのパソコン教室、黒人文化研究、手話指導、子ども読み聞かせ、ダンス教室、点字・録音本作成……本館のほか、88もある分館と4つの専門図書館すべてで、この種のイベントが連日開催されており、まるで巨大カルチャーセンター状態である。

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