【コラム】富樫鉄火のグル新 第222回 市原悦子さんの「声」

市原悦子さんが亡くなったが、「家政婦は見た!」と「まんが日本昔ばなし」の話題ばかりだ。まるでこの2つの仕事が市原さんの大半だったようで、あんまりだと思う。

 その中で、かつて俳優座で共演していた仲代達矢は、さすがに鋭いコメントを出している。

「やはり一番記憶に残っているのは、日生劇場で私がハムレットを、市原さんがオフィーリアを演じた時のことです。彼女は後輩で、まだ20代だったと思いますが、声のすばらしさに感動したのを覚えています。(略)演劇の役者にとってはやはり、声というものが猛烈に大事なんです。(略)姿かたちよりまず、俳優は声なのだと。彼女の声のすばらしさは日本の演劇界の宝でした。ただきれいというだけではなく、声の質をもって、ものを言うという才能。1500席の劇場で、マイクなしで己の声を通していく力を、彼女は先天的にもっていた」(朝日新聞1月15日付より)

この『ハムレット』とは、1964年、俳優座創立20周年記念公演として、日生劇場で上演された舞台のことだ(演出=千田是也)。

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