【コラム】富樫鉄火のグル新 第216回 《秘儀Ⅶ〈不死鳥〉》

2008年に浜松で開催された、第1回「バンド維新」における、西村朗《秘儀Ⅰ》には、ビックリしてしまった。なにしろこっちは、あまり程度の高いオツムではないので、タイトルからして、『エクソシスト』の悪魔払いや、『モスラ』のインファント島の儀式を想像していた。

ところが、これが当たらずとも遠からずで、作曲者本人の解説によれば、終結部は「旋回舞踊の興奮恍惚のきわみに至り、舞踊者 (シャーマン) はトランス状態で失神する」などと書かれていた。アマチュア(特に中高生)が主な対象と思われる新作発表の場で、「失神」音楽が披露されたのだ。小編成の吹奏楽で、これほど重厚かつ深淵な表現が達成できたことにも感動した。

実際、この曲は大好評だった。2014年の第7回「バンド維新」で、《秘儀Ⅱ~7声部の管楽オーケストラと4人の打楽器奏者のための》が発表された。さらに2015年度には、全日本吹奏楽コンクール課題曲として、委嘱作品、《秘儀III ~旋回舞踊のためのヘテロフォニー》が発表された。

そして昨2017年、第10回「バンド維新」で、《秘儀IV〈行進〉》が発表される。この第4弾は、今年度のコンクール自由曲としても大人気で、大編成向けに改訂して演奏する団体もあった。

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