公開50年を記念して、映画『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督/1968年、アメリカ)の、70㎜ニュープリントが作成され、世界巡回上映がはじまった。10月には、東京・京橋の国立映画アーカイブ(旧フィルムセンター)で上映される。
宣伝文句によれば、「公開時の映像と音の再現を追求して、オリジナル・カメラネガからデジタル処理を介さずにフォトケミカル工程だけで作成」され、「公開当時と同じ6チャンネルで、上映前の前奏曲、休憩時の音楽、終映時の音楽まで再現されている」とのことだ(ちなみに、序曲・休憩音楽はリゲティ《アトモスフェール》、エンドタイトルと退場音楽はヨハン・シュトラウスⅡ《美しく青きドナウ》である)。
かつて、超大作映画といえば『ベン・ハー』『アラビアのロレンス』など、多くが横長スクリーンの「70㎜」だった。近年、『ヘイトフル・エイト』や『ダンケルク』のように70㎜フィルム作品が復権しつつあるが、日本には、もう上映できる劇場がない(『2001年』は全10巻、おそらく200㎏近いのではないか)。
ところが昨年10月、ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」イベントとして、フィルムセンター(当時)で『デルス・ウザーラ』(黒澤明監督/1975年、日ソ合作)が上映された。同館は映写機材などを再整備し、オリジナルの70㎜フィルムで上映した(素晴らしかった!)。これが成功し、同館は「日本で唯一、70㎜フィルムを上映できる劇場」として注目を浴びた。そこで今年の同イベントは、話題の『2001年』上映になったようだ。