【コラム】富樫鉄火のグル新 第192回 耳嚢(みみぶくろ)

ジャン・アヌイ『アンチゴーヌ』の舞台を、たまたま、2つ、つづけて観た。

まず、日本大学芸術学部演劇学科の実習発表(2017年12月22日、日本大学芸術学部・北棟・中ホール)。ただし、演出はプロ(桐山知也)。スタッフ陣も学生だが、これらにもプロの指導が入った、学生演劇としてはかなりハイレベルの舞台である。

つぎが、PARCO制作による公演。主演:青井優、演出:栗山民也(1月16日、新国立劇場小劇場)。

翻訳が、前者は芥川也寸志、後者は岩切正一郎(新訳)で、セリフ回しはかなりちがう(芥川訳は1949年初演だが、全然古くない。いまでも十分、通用する)。
学生演劇とプロ公演を比べても意味がないのだが、それでもわたしは、前者の学生演劇のほうをずっと面白く観た。なぜなら、PARCO版は、舞台の半分近くが「見えなかった」のである。

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