■ドラゴンの年(2017)(作曲:フィリップ・スパーク)

「ドラゴンの年」は、スパークの名を一躍世界的なものにまで押し上げることになった代表作の1つ。元々はブラス・バンドのために書かれた作品で、1984年、当時ウェールズを代表した超強力なブラス・バンドだった“コーリー・バンド”の結成100周年記念委嘱作として作曲された。非常にエキサイティングな曲であり、メロディーの美しさは数あるスパーク作品の中でも1、2を争う。

タイトル中の“ドラゴン”は、ウェールズの象徴であり、同王国の“紋章”や1959年にエリザベス女王によって正式に制定された“ウェールズ国旗”にも使われている“レッド・ドラゴン”をさしている。

この「2017年バージョン」はシエナ・ウィンド・オーケストラの委嘱より作曲され、2017年6月17日に文京シビックホールで行われた「第44回定期演奏会」で世界初演された。

■フィリップ・スパーク氏のドラゴンの年2017年版について解説

『ドラゴンの年 The Year of the Dragon 2017年版』は、シエナ・ウィンド・オーケストラにより委嘱され、本日の公演で世界初演される。

本作の吹奏楽版初版は、ブラスバンド版を作曲した1年後の1985年に作られた。当時、私は吹奏楽の作曲技法を模索し学んでいる途中であった(もちろん、今もその道程にあるが!)。それから32年の時が経過して、吹奏楽という表現手段に対する私のアプローチも、少しは進化し向上してきたつもりである。

以下に、2つのバージョンの主な違いを挙げる;

1)1980年代における吹奏楽事情は、現在よりはるかに国際的では無かった。英国の吹奏楽団は伝統的な軍楽隊のスタイルを踏襲していて、当時隆盛していたアメリカの大学バンドの編成よりも小規模なオーケストレーションを使う傾向にあった。今回の2017年版では、近代的な拡張された打楽器セクションと低音木管楽器群、さらにストリングベースも加え、より国際的な編成を採用した。

2)初版では、木管楽器の譜面に愚直な筆致が見られた。ブラスバンド版から、文字通りそのまま写されたアーティキュレーションによって、ところどころ木管楽器らしからぬ表現になってしまっていたが、今回、それらを改善することに努めた。

3)上記に加えて、私自身の作曲スタイルが、この32年の間で成熟し進化してきた、ということがある。初版にあるいくつかのパッセージは、率直に言って「今の私だったら、こうは書かないだろう」と思う。しかしそれは、初版が「間違っている」のではなく、私の作曲技法が変化しただけのことである。この2017年版は、初版に新しい衣服を着せて見た目を取り繕ったものではなく、もし今日(こんにち)の私だったらこう書いただろう、という一つの結果である。

2017年4月
フィリップ・スパーク

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■Year of the Dragon(2017)

・グレード:5
・作曲:フィリップ・スパーク(Philip Sparke)
・TIME:約13分12秒
・出版:Studio Music
・分類:販売譜(フルスコア&パート譜 セット)

【楽器編成】
Piccolo
Flutes 1
Flutes 2
Oboes 1
Oboes 2
English Horn
E♭ Clarinet
B♭ Clarinets 1
B♭ Clarinets 2
B♭ Clarinets 3
E♭ Alto Clarinet
B♭ Bass Clarinet
Bassoon 1
Bassoon 2
Double Bassoon
B♭ Contrabass Clarinet

B♭ Soprano Saxophone
E♭ Alto Saxophone
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

E♭ Trumpet
B♭ Trumpet 1
B♭ Trumpet 2
B♭ Trumpet 3
B♭ Trumpet 4

Horn in F 1
Horn in F 2
Horn in F 3
Horn in F 4

Trombone 1
Trombone 2
Trombone 3

Euphonium(B.C.)
B♭ Euphonium(T.C.)
Tuba

Double Bass
Timpani
Percussion 1
Percussion 2
Percussion 3
Percussion 4

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