Q:僕は学級合唱の指揮をしていますが、指揮を振る時は図形にそったものじゃなきゃいけないのですか? もっとダイナミックにやりたいんですけど・・・。拍があっていればいいんですか?

A:演奏者(歌い手)の技量により、指揮の図形を省略したり、変形したりして構いません。
しかし、多くの人が1つの音楽を1つの気持ちで奏でるために、テンポやアインザッツの統一、曲想や歌詞のニュアンスの統一などを指示しなくてはなりません。
奏者との信頼関係をしっかりさせて、お互いの気持ちが通じ合っていることが大切です。

私なりのポイントを以下に述べます。

「合唱での指揮法」(指揮者 五十嵐 清)
ここでは基本的な合唱の指揮法についてお話致します。
右手の役割はカウントやテンポ指示をします。この時左手は、声部や新しいメロディーの入りのタイミング、ダイナミックス、曲想のニュアンスなどを指示します。

<右手>
合唱では指揮棒は使用しないと思います。ですから右手の指先や開き方、手のひらの向きなどとても大切な音楽表現になります。

1)指揮の図形を描く範囲を決める。
fの時:高さ上限は自分のオデコ、下限はオヘソ、左側は自分の左肩のライン、右側はひじが身体から20cm位離れた位置。70cm×70cm四方の範囲
pの時:20cm×20cm四方の範囲で、明るめの曲想では顔の前、落ち着いた
曲想では喉と胸の間で、そして悲しみ暗めの曲想の時では胸より下の位置で図形を描く。

2)腕全体(肩)で、ひじから先で、手首から先、指先で振るかを決める。
この時、ひじを身体からどの位離すのかも決める。

3)手のひらを上に向ける(明るい、広がり、軽い、進むのイメージ)か、
下に向ける(暗い、内面的、重い、慎重、)か。
また手を握る(感情を込める)か、開く(開放感)かを決める。

<左手>

1)声部や新しいメロディーの入りのタイミング
何部合唱の曲かチェックして下さい。
例えば混声合唱ではソプラノ、アルト、テノール、バスと4声部に分かれていると思います。それぞれの立っている方向に向いて(目線を向ける)、ハッキリ分かるように(1拍目からメロディーの時では)「サン、ブレス、どうぞ」というように振る。
(自分より左に位置しているパートには左手はやや大きめに指示、右に位置しているパートには右手も一緒に指示し、左手はやや振りを小さめにする)

2)ダイナミックス
右手は振りの大きさでダイナミックスをつけます。この時左手は手の平の向きで
ダイナミックスを指示します。上向きはfやクレッシェンド、下向きはpやデクレシェンドをあらわします。手の高さや腕の伸び縮みでも細かいダイナミックスが付けられます。

ここで大切なことを1つお話します。左手を伸ばした状態で手のひらを下にしないで下さい。「待った!ストップ!」など規制的になってしまい、音楽を壊してしまいます。

3)曲想のニュアンス
握っているか、開いているか、それも「きつく」「柔らかく」、そして「胸の前」「目線の位置」のキーワードを組み合わせて、一番曲想を表現していると思われるようにしてみて下さい。(右手より効果がある)

この他に、間奏などピアノ伴奏だけの時には、左手でテンポを指示すると歌とのコントラクトが出て来ます。

また、身体(特に上体やかがみかた)や顔の表情がとても大切です。

合唱の指揮は、メロディーと歌詞の流れを中心に指揮をするといいと思います。ピアノ伴奏の人とは曲想やテンポ感について充分打ち合せをしておいて下さい。

 指揮者は、奏者(の集合体)に自分の意思を伝えて、演奏してもらわなければ音楽が表現できません。ですから正確に自分の欲しい音(音楽)を奏者に伝えていかなければなりません。そのためには奏者との信頼関係は必要不可欠です。奏者を愛することを忘れず、音楽的にも人間的にも魅力のある「プラス」の存在でいて下さい。
最後に、上手なバトンテクニック=良い指揮者ではなく、心を語る音楽性を重視した指揮を目指してもらいたいと思います。

回答:五十嵐 清

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