■フィリップ・スパーク作品集CD「ゾディアック・ダンス(干支の舞)」が発売

 「ドラゴンの年」、「オリエント急行」、「宇宙の音楽」、「ウイークエンド・イン・ニューヨーク」など、ウィンドミュージックの世界を興奮させるイギリスの作曲家フィリップ・スパークの作品集!

演奏のロイヤル・エア・フォース・セントラル・バンドは、英国屈指の実力を誇るウィンドオーケストラであり、2017年4月に定年を迎えた首席音楽監督ダンカン・スタッブズが指揮をしたラストCDとなった。

アルバムは、バス―ンのために書かれた『ウィンド・イン・ザ・リーズ』、ユーフォニアムのために書かれた『スピリット・アイランドの伝説』の2曲のソロ曲を含むスパーク自身の作品8つに、グスターヴ・ホルストの作品をウィンドオーケストラ用にアレンジした1曲を加えた合計9曲で構成される。

近年、客演指揮者としての来日機会も多く、日本と関わり合いのある作品も多い。

冒頭の『スピリット・オブ・アンダルシア』は、スコットランドのグラスゴー・ウィンド・バンドの委嘱作で、初演は、2015年11月1日、エディンバラで行われた。当初コンサートの幕開けを飾る5分程度の華々しいオープナーを求められたが、作曲の過程でスペイン音楽の影響を受けた作品のスタイルを取り始め、随所にスペイン風のタッチが溢れ、アンダルシア地方を起源とするフラメンコをリスペクトする作品に変貌した。

ラテンの色彩感とエキサイティングなリズムが盛り込まれ、2017年6月17日、作曲者の指揮で行われたシエナ・ウインド・オーケストラの第44回定期でもオープニングを飾り、たいへん注目を集めた!!

つづく『友情の詩(うた)』は、2016年、埼玉県新座市の十文字学園女子大学吹奏楽部と指揮者西田裕の委嘱で生み出された作品。初演は、同年7月3日、同大学記念ホールで行われた。

いろいろな出会いが新たな友情を生み出すというテーマをコンセプトに作られた曲で、西田自身がパーソナリティをつとめたCSラジオ番組のオープニング・チューンとして2004年に委嘱された「ザ・バンドワゴン」、2011年の東日本大震災に際し、復興を祈念してリクエストされた「陽はまた昇る」と組み合わせて、3部作のスタイルをとった演奏も行われている。

曲は終始マエストーソの進行をとる。その穏やかで優しいメロディー・ラインは、間違いなくすべてのスパーク・ファンのハートに響くだろう!

3曲目の『リフレクションズ~ある古い日本俗謡による~』は、東京吹奏楽団の委嘱作で、2015年9月26日、東京芸術劇場コンサートホールにおける東京吹奏楽団第62回定期演奏会で作曲者の指揮で初演された。

日本の古謡“推量節”を題材に用いた注目すべき作品で、音楽の中で和と洋のコントラストを際立たせ、それを1つの作品に昇華させている。日本のメロディーを自作に取り入れた外国作品の中には、異文化的な違和感を覚えるものもあるが、スパークのこの作品はテーマの扱いがクリアで、すばらしい作品に仕上がっている。

“推量節”は、イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニもオペラ「蝶々夫人」にも使われている。それがスパーク作品の中ではどのように扱われるのか。日本人としては、それが聴こえてくるだけでドキドキする!

『ウェイ・トゥー・ヘブン』は、2015年、ロイヤル・エア・フォース・ミュージック・サーヴィシーズの委嘱作品。初演は、同年4月11日、マンチェスターのロイヤル・ノーザン音楽カレッジで、ダンカン・スタッブズ指揮、ロイヤル・エア・フォース・セントラル・バンドの演奏で行われた。

同年は、1940年7~10月までの間、イギリス上空に侵入したドイツ空軍機との間で繰り広げられた大空の戦い“バトル・オブ・ブリテン”の75周年にあたる。これには英連邦以外のパイロットも参戦したが、中でも有名なのは、ハリケーン戦闘機を駆って戦った“義勇ポーランド空軍”のパイロットたちだった。

曲名は、彼らの名場面を描いた絵画のポーランド語のタイトル“DRAGA DO NIEBA(天国への道)”の英語訳。音楽から青い大空をハリケーンが颯爽と飛行するシーンが浮かび上がってくるような音楽で、途中、ポーランド人だけで編成された303スコードロンのハリケーンがスクランブルのためにエンジンを始動させるシーンを楽器で表現する場面も盛り込まれている!

グスターヴ・ホルスト(1874~1934)の『セント・ポール組曲』は、このアルバムの中で異彩を放っている。オリジナルは、ホルストがロンドンのセント・ポール女学校の教員をつとめていた1912~1913年にかけて作曲された弦楽合奏組曲。4つの楽章で構成され、第4楽章には、吹奏楽オリジナルの名曲「組曲第2番」(1911)の終楽章“ダーガソンによる幻想”が転用されている。

偉大なる先人をリスペクトする興味深い編曲の登場だ!

静けさの中に虚しさを漂わせる『イン・メモリアム“戦いに倒れし者へ”』も感動的な音楽だ!

イギリスで詩人、劇作家、芸術学者として名をなしたローレンス・ビニヨン(1869~1943)が、第1次大戦後の1914年9月にタイムズ誌に発表した頌歌からインスパイアーされ、ナレーションも入る。

『ゾディアック・ダンス(干支の舞) 』は、2016年、大阪府泉大津市の“泉大津市吹奏楽団”結成50周年記念委嘱作品。初演は、同年11月20日、泉大津市民会館大ホールで開催された「結成50周年記念 第45回定期演奏会」で、作曲者の指揮で初演された。

バンドの結成(1966)の午(うま)に始まり、つづく10年刻みの干支、“辰(たつ)”、“寅(とら)”、“子(ね)”、“戌(いぬ)”、“申(さる)”を象徴する6つの生き物(架空も含む)である“ホース”、“ドラゴン”、“タイガー”、“ラット”、“ドッグ”、“モンキー”のキャラクターからイマジネーションを脹らませた組曲となっている。日本的情緒を求めたものではないが、各楽章の動物たちの動きが音楽の中から浮かびあがってくるようなとても愉しい作品となっている。

スパーク・ファンには見逃せないアルバムが、ここにまた1枚登場した!

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https://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4277/

■ゾディアック・ダンス(干支の舞)
~フィリップ・スパーク作品集

Zodiac Dances – The Concert Band Music of Philip Sparke

・演奏団体: ロイヤル・エア・フォース・セントラル・バンド
(The Central Band of the Royal Air Force)
・指揮者: ダンカン・スタッブズ (Wing Commander Duncan Stubbs)

・録音:2017年4月、RAF Music Building, Northoit(U.K.)
・発売元:アングロ・ミュージック (Anglo)
・発売年:2017年

【収録曲】

  1. スピリット・オブ・アンダルシア 【7:13】
    Spirit of Andalusia

  2. 友情の詩(うた) 【6:51】
    Song of Friendship

  3. リフレクションズ ~ある古い日本俗謡による~ 【9:28】
    Reflections on an Old Japanese Folk Song

  4. ウィンド・イン・ザ・リーズ 【6:55】
    Wind in the Reeds
    バス―ン(Bassoon):クリストファー・ジェームズ(Christopher James)

  5. ウェイ・トゥー・ヘブン 【4:35】
    The Way to Heaven

  6. スピリット・アイランドの伝説 【8:00】
    The Legend of Spirit Island
    ユーフォニアム(Euphonium):ルイス・マッサン(Lewis Musson)

  7. セント・ポール組曲/グスターヴ・ホルスト【16:47】
    St Paul?s Suite/Gustav Holst
    I) 第1楽章:ジーグ Jig 【3:13】
    II)第2楽章:オスティナート Ostinato 【1:54】
    III)第3楽章:インテルメッツォ Intermezzo 【4:02】
    IV)第4楽章:フィナーレ(ダーガソン) Finale (The Dargason) 【7:38】

  8. イン・メモリアム「戦いに倒れし者へ」~ローレンス・ビニヨンの頌歌にもとづく~【7:38】
    In Memoriam: For the Fallen~On a Poem by Laurence Binyon

  9. ゾディアック・ダンス(干支の舞) 【10:51】
    Zodiac Dances

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