【レポート】保科 洋『交響曲第2番』東京初登場!ブリリアントなパフォーマンスが光ったTADウインドシンフォニー第24回定期演奏会

 ウィンド・ミュージックのドライビング・フォース、ワールドワイドに注目を集めるプロ軍団“タッド・ウインドシンフォニー”の第24回定期演奏会が、2016年6月9日(金)、東京・ティアラこうとう大ホールで開催された!

今回のプログラムは、第1部にトーマス・ドス『フェスティヴァル・ベルズ』、フィリップ・スパーク『山の歌』、ピーター・グレイアム『メトロポリス 1927』というヨーロッパの新旧作を配し、第2部に保科 洋の2016年の注目作『交響曲第2番』を据えたとてもアグレッシブなもの!

音楽監督タッド・鈴木(鈴木孝佳)の世界的視野にたった選曲で、色彩感の異なる作品を有機的に組み上げ、まるで”チクルス”であるかのようにフィナーレにウィンドオーケストラのためのシンフォニーを据えるコンサート・スタイルは、海の向こうのユージン・コーポロンらも賞賛するファースト・クラスのプログラムだ!

オープニングで日本初演されたドスの『フェスティヴァル・ベルズ』は、2014年、オーストリアのオーバーエスターライヒ州音楽祭のために書かれた作品。スピード感とリズム感にあふれ、キラキラと輝かく導入に始まり、叙情的な中間部をへて、ジャジーな展開を見せながら圧倒的なエンディングに至るブリリアントな作品だ!

金管、木管、打楽器のすべてが躍動し、目が覚めるようなカッコいいパフォーマンスだった!!

つづくスパークの『山の歌』は、1992年、東京佼成の作曲者自作自演CD「オリエント急行」のセッションのためにウィンドのためのオーケストレーションが施された作品で、ヨーロッパでは不動の人気を誇っている。

作曲者が夏のホリデーを家族で過ごしたオーストリアのマイヤーホーフェンの情景にインスピレーションを得ており、日曜の村に響く教会の鐘、ハイキングで出かけた近くの山からみる渓谷の広大なパノラマ、風に揺られる木々のざわめきなど、音楽の中からさまざまな情景が浮かび上がってくる作品だ!

第1部のフィナーレを飾ったのは、「ハリスンの夢」や「地底旅行」、「巨人の肩にのって」などで知られるグレイアムの新作『メトロポリス 1927』だった! !

1927年公開の有名なサイレントSF映画「メトロポリス」(フリッツ・ラング監督)の世界にインスピレーションを得たウィンド・ミュージックの最先端を走る現代曲で、オリジナルは全英ユース・ブラスバンドのためのブラスバンド作品として発表。近年アメリカ海兵隊バンドの委嘱で、完全なウィンドオーケストラ作品に作り直された超強力作品だ!

間違いなくグレード6超えのハイ・スタンダードな作品だが、指揮のタッド氏もステージ上のパフォーマーたちもモチベーション全開で、ここ何年間のタッドWSのステージの中でも指折り数えられるほどのすさまじい熱気が感じられるブリリアントなパフォーマンスとなった!

途中、現われるジャジーなバンダもブラボーもので、場内の興奮もグングン駆け上がっていく!

第2部に取り上げられた保科 洋の『交響曲第2番』は、2016年4月の広島ウインドオーケストラ定期のために作曲された3楽章構成の堂々たるシンフォニー。スコア・リーディングを終えたタッド氏が『言うまでもありませんが、保科先生は日本の宝です!』とメンバーに語るほど、入れ込んだ作品だった。

作曲者との電話のやりとりの中で『鈴木さん、どうぞ好きなようにやって下さい。』と言われていたタッド氏も気合い十分で、音楽を変幻自在に揺らすそのタクトは、急~緩~急の3つの楽章の随所に美しい“保科節”が散りばめられているこの作品の魅力を余すことなく引きだしていた!

特に印象に残ったのは、全体を支配する冒頭部のホルンによるファンファーレのテーマで、一度聴いただけで耳に残るほどのインパクトがあり、聴衆だけでなく、プレイヤーにとっても演奏者冥利につきるものだった!

ウィンドオーケストラのための交響曲が脚光を浴びる中、この作品は、間違いなく日本の銘品として、繰り返し演奏されていくことになるだろう!!

万雷の拍手に応えて演奏されたアンコールは、これまた保科洋の『インテルメッツォ』。

タッド氏が“すばらしい音楽だ”と感銘を受けた作品だ。

美しいそのパフォーマンスは、シンフォニーを聴いた後、一服の清涼剤のようにホールの空間に吸い込まれていった!!

■タッド・ウインドシンフォニー 第24回定期演奏会

【曲目】
フェスティヴァル・ベルズ(トーマス・ドス) – 日本初演 –
山の歌(フィリップ・スパーク)
メトロポリス 1927(ピーター・グレイアム)
交響曲第2番(保科 洋)

~ アンコール ~
インテルメッツォ(保科 洋)
ツール・ド・フォース(ロバート・E・ジェイガー)

【TAD公式ホームページ】
http://tadwind.sakura.ne.jp/


◎タッド・ウインドシンフォニーの近作CDをチェックする

■タッド・ウィンド・コンサート(33)
ナイジェル・ヘス/イーストコーストの風景
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4243/

■タッド・ウィンド・コンサート(32)
フィリップ・スパーク/交響曲第3番「カラー・シンフォニー」
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4230/

■タッド・ウィンド・コンサート(31)
ウィリアム・H・ヒル/セント・アンソニー・ヴァリエーション
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4215/

■タッド・ウィンド・コンサート(30)
フランコ・チェザリーニ/交響曲第1番「アークエンジェルズ」
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4160/

■タッド・ウィンド・コンサート(29)
フィリップ・スパーク/風のスケッチ
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4126/

■タッド・ウィンド・コンサート(28)アルフレッド・リード/交響曲第4番
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4112/

◎絶好調「タッド・ウィンド・コンサート」シリーズのCDをチェックする
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000823/

 

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