【コラム】富樫鉄火のグル新 第181回 <古本書評②>『悉皆屋康吉』舟橋聖一

まず、内容よりも、本書の成り立ちからご紹介したい。

これは8章構成の連作小説である。
舟橋聖一(1904~1976)は、昭和16(1941)年から、ほぼ1年に1章ずつ、複数の文芸誌を舞台に本シリーズを書き継いできた。
だが昭和16年といえば太平洋戦争が始まった年である。
次第に「文芸」どころではなくなり、昭和19年1月、前半部(「巻の四」まで)を発表したところで一時中断、残りは「書下ろし」で単行本化の際に加えることにした。
(このあたり、『細雪』の成立過程に似ている)

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