ここまで、委嘱や初演をしてきた作品が実に300曲超え!
50歳を越えた今も世界を股にかけ、アグレッシブな大活躍が続くユーフォニアム界のスーパー・スター、スティーヴン・ミード!
オーケストラ、ウィンドオーケストラ、ブラスバンド、ブラスアンサンブル、室内楽、ピアノ、オルガン、電子音…、ミードが共演したアーティストや演奏形態は、他の追従を許さないほど多彩だ!!
ミードのパフォーマンスには、限界がない!!
「リリカル・ヴィルトゥオーソ」は、そのミードが、久しぶりにブラスバンドを伴奏者に選んだソロ・アルバムだ!
バックをつとめるのは、2016年のヨーロピアン選手権でも第4位入賞を果たしたベルギーのチャンピオン・バンド、ブラス・バンド・バイジンゲ!!
ミードのソロ・アルバムのバックをつとめるのは、世界的な評価を得た1995年の「ユーフォニアム・ヴィルトゥオーソ」(CD-0919)以来、11年ぶりのことだ!
指揮のリュク・ベルトッメンは、スキルフルな編曲者としても知られ、このアルバムにも5曲のアレンジが収録されている。
レパートリーは、オリジナル、クラシック、ポップ、トラッドの幅広いカテゴリーから選曲され、“リリカル(叙情性)”と“ヴィルトゥオーソ(名手による名人芸)”という、2つの要素を掛け合わせた変化に富んだアルバムとなっている。
オリジナルの中で最も注目されるのは、ジョン・ゴーランド(1942~1993)の『ユーフォニアム協奏曲第1番』(作品64)だ!
作曲は1980年。初演は、翌1981年、オーストラリア演奏旅行中のグライムソープ・コリアリー・バンドのコンサートで、プリンシパル・ユーフォニアム奏者ロバート・チャイルズの独奏で行なわれた。
オーソドックスな3楽章構成で、短いプロローグとコーダをもち、各楽章は休みなく演奏される。ドラマチックなカデンツァのある導入部、第1楽章から第2楽章への過程にある難易度の高いカデンツァ、ヨークシャーの荒涼とした丘陵地のイメージから作られた美しく流れるような第2楽章、スネアと独奏者とのデュエット、ドラマチックなエンディングなど、アルバム・コンセプトの“リリカル”と“ヴィルトゥオーソ”のコントラストの妙を音楽として体現するすばらしいユーフォニアム協奏曲だ!!
ミードは、1993年6月、上村和義指揮、プリーズ・ブラス・バンドとこの協奏曲を録音(佼成出版社CD)しており、今度のアルバムは、それ以来のセッション・レコーディングとなる。世界的に賞賛を得たそのときのプリーズ盤は、その後、佼成出版社がCD制作から全面撤退したため、現在は残念ながら入手不能。そんなこともあり、今度の新録音は、ミードのソロで聴きたいファンに喜ばれるだろう!
リュク・ベルトッメンが編曲した『ニコロの奇想曲』も聴きものだ!
オリジナルは、1993年、アメリカの作曲家フランク・プロトが、トランペット奏者ドック・セバリンセンとボストン・ポップス・オーケストラのために書いたトランペット独奏曲で、テーマには有名なニコロ・パガニーニによる独奏ヴァイオリンのための「24のカプリース(奇想曲)」の主題が使われている。
作曲者の許可を得て、ユーフォニアム独奏とブラスバンドのために編曲されたこのバージョンは、もちろんこれが世界初録音!
まさしく“ヴィルトゥオーソ”の王道を行くような独奏曲で、ユーフォニアムという楽器に“限界”はない、と思わせるようなミードのノリノリのパフォーマンスが印象的だ!
もう1つのコンセプトである“リリカル”の側面からは、フィリップ・ハーパーの『平和の庭で』やロナルド・ジェミースンの『オールド・ノースト』、シグヴァルト・ダグスランドの『ミケランジェロ』が期待を裏切らない!
聴くものをうっとりさせるようなミードの歌ごころは、まるで歌手のそれだ!
アルバムは、グスタフ・マーラーの『私はこの世に忘れられて』で、すばらしい音楽の余韻を感じさせながら大団円!!
これもまた、アッという間に1枚を聴き終えてしまった。
【このCDをBPショップでチェックする】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4116/
■スティーヴン・ミード~リリカル・ヴィルトゥオーソ
ゴーランド:ユーフォニアム協奏曲第1番
【収録曲】
- ラ・コリーダ・デ・トロス(闘牛)/デヴィッド・バンドマン(arr.リュク・ベルトッメン) 【5:20】
La Corrida de Toros/David Bandman(arr. Luc Vertommen) -
ナポリのセレナーデ/ルッジェーロ・レオンカヴァッロ(arr. リュク・ベルトッメン) 【2:14】
Serenade Napolitaine/Ruggero Leoncavallo(arr. Luc Vertommen) -
ユーフォニアム協奏曲第1番(作品64)/ジョン・ゴーランド 【17:16】
Euphonium Concerto No.1, Op.64/John Golland -
オールド・ノースト/ロナルド・ジェミースン(arr. アンソニー・スウェインスン) 【4:43】
The Auld Noost/Ronald Jamieson(arr. Anthony Swainson) -
ニコロの奇想曲/フランク・プロト(arr. リュク・ベルトッメン) 【16:10】
Capriccio di Niccolo/Frank Proto(arr. Luc Vertommen) -
ミケランジェロ/シグヴァルト・ダグスランド(arr. フローデ・リュードランド) 【5:09】
Michelangelo/Sigvart Dagsland(arr. Frode Rydland) -
メイフライ・ブルース/スタン・二ーウヴェンハイス 【7:42】
Mayfly Blues/Stan Nieuwenhuis -
平和の庭で/フィリップ・ハーパー 【5:27】
In Gardens of Peace/Philip Harper -
鐘のロンド~ラ・カンパネラ(「ヴァイオリン協奏曲第2番」から)
/ニコロ・パガニーニ(arr. リュク・ベルトッメン) 【6:27】
Rondo-La Campanella (from Violin Concerto No. 2) /Niccolo Paganini(arr. Luc Vertommen) -
私はこの世に忘れられて(「5つのリュッケルトの詩による歌曲」から)
/グスタフ・マーラー(arr. リュク・ベルトッメン) 【6:26】
Ich bin der Welt abhanden gekommen (I Am Lost To The World) /Gustav Mahler(arr. Luc Vertommen)
【このCDをBPショップでチェックする】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4116/