■「BPラジオ 吹奏楽の世界へようこそ」4月の放送予定

毎週(土)23時…FMカオン(厚木・海老名)
http://www.fmkaon.com/

毎週(日)正午…調布FM
http://www.chofu-fm.com/
もちろん、どちらもネット経由で、全国どこででも聴けます!

【第143回】疫病に倒れた芸術家たち
FMカオン……4/4(土)23:00、【再放送】4/18(土)23:00
調布FM………4/5(日)正午、【再放送】4/19(日)正午

【第144回】東京五輪中止の年、1940年
FMカオン……4/11(土)23:00、【再放送】4/25(土)23:00
調布FM………4/12(日)正午、【再放送】4/26(日)正午

【制作・提供】バンドパワー
【ご案内】富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)

【BPラジオの視聴方法】

【第143回】疫病に倒れた芸術家たち
FMカオン 4/4(土)23:00【再放送】4/18(土)23:00
調布FM 4/5(日)正午【再放送】4/19(日)正午

新型コロナウイルスの猛威がつづいています。過去、人類は、数々の疫病、感染症と闘ってきました。なかには、命を奪われた芸術家もたくさんいます。今回は、コレラに倒れた芸術家、作曲家チャイコフスキーと、浮世絵師・歌川広重の2人を取り上げます。

【1】交響曲第4番ヘ短調~第4楽章/チャイコフスキー作曲
酒井正幸指揮、東京都豊島区立第十中学校吹奏楽部(1,970年、全日本吹奏楽コンクール)【約7分】

【2】大序曲《1812年》 
ノルベール・ノジ指揮、ギィデ交響吹奏楽団 【約15分】

【3】交響曲第2番《江戸の情景》作品54/フランコ・チェザリーニ作曲(前半部)
鈴木孝佳指揮、タッド・ウインドシンフォニー【前半のみ約19分】
※歌川広重の浮世絵「名所江戸百景」が題材の曲です。

【第144回】東京五輪中止の年、1940年
FMカオン 4/11(土)23:00【再放送】4/25(土)23:00
調布FM 4/12(日)正午【再放送】4/26(日)正午

本年の東京五輪が延期になりました。実は、1940年(昭和15年)にも、東京五輪が開催される予定でしたが、日中戦争の影響で中止(開催権返上)になっています。この1940年とは、どんな年だったのでしょうか。この年に生まれた曲や、作曲家に焦点をあててご紹介します。

【1】映画「東京オリンピック」サントラより~マラソン/黛敏郎作曲【約6分】

【2】《祝典序曲》/イベール作曲、天野正道編曲
阿部智博指揮、秋田南高等学校吹奏楽部【約14分】

【3】ウォーターメロン・マン/ハービー・ハンコック作曲、天野正道編曲
天野正道指揮、陸上自衛隊中央音楽隊【約5分】

【4】ビートルズ・コレクション/ポール・マッカートニー作曲、ヨハン・デメイ編曲
ピーター・フェイゲル指揮、ベルリン警察音楽隊【約6分】

【5】《狐軍》 秋吉敏子&ルー・タバキン ビッグバンド【約7分】

■金管五重奏による「ドラゴンクエストXI」過ぎ去りし時を求めて よりの楽譜セットがオクタヴィア・レコードより発売

2017年に発売された「ドラゴンクエストXI」の音楽から、13曲をセレクトした曲集がオクタヴィア・レコードより発売された。編曲を担当したのは、「東京メトロポリタン・ブラス・クインテット」のトロンボーン奏者・小田桐寛之とトランペット奏者・高橋敦。管楽器のスペシャリストによる、各楽器の特徴を活かした編曲となっている。

■金管五重奏による「ドラゴンクエストXI」
過ぎ去りし時を求めて より

作曲:すぎやまこういち
編曲:小田桐 寛之、高橋 敦
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/set-1567/

【データ】

・出版社グレード:
・作曲:すぎやまこういち

  1. 序曲XI(arr.小田桐寛之)
  2. 冒険のはじまり~勇者は征く(arr.小田桐寛之)
  3. 勇者の凱旋(arr.高橋敦)
  4. 荘厳なる王宮(arr.高橋敦)
  5. オーレ!シルビア!(arr.小田桐寛之)
  6. ひるまぬ勇気(arr.高橋敦)
  7. レースバトル(arr.高橋敦)
  8. 天空魔城(arr.高橋敦)
  9. 空飛ぶ鯨(arr.高橋敦)
  10. 騎士道を我が胸に(arr.高橋敦)
  11. 愛のこもれび(arr.小田桐寛之)
  12. 窮地を駆ける~希望はいずこへ~黄昏の荒野(arr.小田桐寛之)
  13. 過ぎ去りし時を求めて(arr.高橋敦)

【楽器編成】

B♭ Trumpet 1
B♭ Trumpet 2
F Horn
Trombone
Tuba

【この楽譜セットをBOショップでチェックする】
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/set-1567/

■金管五重奏による「ドラゴンクエストXI」過ぎ去りし時を求めてより(演奏:東京メトロポリタン・ブラス・クインテット)

東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの演奏で収録されたCD「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」がキング・レコードより発売された。収録曲は「序曲XI」「冒険のはじまり~勇者は征く」など全13曲。詳細などは以下の通り。

また、このCDに収録された曲の「楽譜セット」もオクタヴィア・レコードから発売されている。

■金管五重奏による「ドラゴンクエストXI」
過ぎ去りし時を求めてより

演奏:東京メトロポリタン・ブラス・クインテット
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4580/

【データ】

・演奏団体:東京メトロポリタン・ブラス・クインテット
・発売元:キング・レコード
・発売年:2020年

【収録曲】

作曲:すぎやまこういち【全曲】

  1. 序曲XI(arr.小田桐寛之)
  2. 冒険のはじまり~勇者は征く(arr.小田桐寛之)
  3. 勇者の凱旋(arr.高橋敦)
  4. 荘厳なる王宮(arr.高橋敦)
  5. オーレ!シルビア!(arr.小田桐寛之)
  6. ひるまぬ勇気(arr.高橋敦)
  7. レースバトル(arr.高橋敦)
  8. 天空魔城(arr.高橋敦)
  9. 空飛ぶ鯨(arr.高橋敦)
  10. 騎士道を我が胸に(arr.高橋敦)
  11. 愛のこもれび(arr.小田桐寛之)
  12. 窮地を駆ける~希望はいずこへ~黄昏の荒野(arr.小田桐寛之)
  13. 過ぎ去りし時を求めて(arr.高橋敦)

【このCDをBPショップでチェックする】
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4580/

■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第118話 ピーター・グレイアムがやってきた

▲ピーター・グレイアム(大阪城天守閣、2006.2.6)

▲スタディ・スコア(ブラスバンド版)- Journey to the Centre of the Earth(英Gramercy Music、2005年)

▲DVD – European Brass Band Contest 2005(英World of Brass、WOB 112 DVD、2005年)

▲同ブックレット、曲目

▲CD – Highlights from The European Brass Band Contest 2005(英Doyen、DOYCD 196、2005年)

▲同、インレーカード

2006年(平成18年)2月5日(日)、イギリスの作曲家ピーター・グレイアム(Peter Graham)がやってきた!!本当に!!

ここでわざわざ“本当に”と断る理由は、この4年前の2002年(平成14年)11月8日(金)、大阪市音楽団(市音 / 民営化後、Osaka Shion Wind Orchestra)が、フェスティバルホール(大阪)で行なった「大阪市音楽団第85回定期演奏会」(指揮:秋山和慶)で、ピーターの『ハリスンの夢(Harrison’s Dream)』の日本初演を行なう、その少し前、東京から突如撒き散らされた“作曲者が聴きに来る!”という事実無根、本人未確認のデマによって、大きな騒ぎに発展したことがあったからだ。(参照:《第117話 ピーター・グレイアムとの交友の始まり》)

幸いなことに、そのデマの発信元は、すぐに特定され、その後、関係者からその軽口を厳しく諌められることになった。どこの世界にも口から先に生まれ出たような性格の人物はいる。しかし、SNSもなかった時代に、“よくもまぁ…”と思えるほど、それはそれは強力な感染力だった!

話を元に戻そう。

2006年、今度は本当に日本をめざしたピーターは、2月4日(土)、10時30分発のオランダ航空 KLM 1076便で、英マンチェスターを出発。経由地オランダのアムステルダムで、同日14時5分発のオランダ航空 KLM 867便に乗り換え、2月5日(日)、9時20分に関西国際空港に降り立った。

ピーターにとっては、これが正しく初来日だ!!

来日目的は、市音の自主制作CD「ニュー・ウィンド・レパートリー2006」(大阪市教育振興公社、OMSB-2812、2006年)に収録予定の新作『地底旅行(Journey to the Centre of the Earth)』のリハーサルとセッションの立会い、コラボーレーションだった。

未知の新曲の日本初演や初録音において、作曲者がその場にいるコラボレーションが持つ意味はとても大きい。とくに、世界の最先端を走るピーターのような現代作曲家の作品にとっては!

ましてや、2日ほどの練習で結果を出さなければならないプロの現場ではなおさらだ!

『地底旅行』は、フランスの作家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne、1828~1905)の有名な同名小説にインスパイアーされた作品だ。原作は、ヘンリー・レヴィン(Henry Levin、1909~1980)監督によって映画化(20世紀フォックス、1959)もされているので、イメージが捉えやすい。

さて、ピーターの『地底旅行』だが、これは、ヴェルヌ没後100年にあたる2005年4月30日(土)、オランダ、フローニンゲン(Groningen)のマルティニプラザ(MartiniPlaza)で開催された“ヨーロピアン・ブラスバンド選手権2005(European Brass Band Contest 2005)”にエントリーされたイングランド代表、ブラック・ダイク・バンド(Black Dyke Band)が、選手権本番で課せられるセット・テストピース(指定課題)とオウン・チョイス・テストピース(自由選択課題)の2曲の内、“オウン・チョイス”のステージで“世界初演”する目的で委嘱された“ブラスバンド編成”で書かれたオリジナル作品だった。

ブラック・ダイクの指揮者ニコラス・チャイルズ(Nicholas Childs)にとっては、優勝をもぎ取るために準備してきた“秘中の秘”の曲であり、“世界初演”となった選手権本番の演奏では、100ポイント満点中、98ポイントという、ほぼ満点に近いセンセーショナルな成功を収めた!

(余談ながら、2005年大会のセット・テストピースは、オランダの作曲家ヨハン・デメイ(Johan de Meij)がこの選手権のために委嘱された『エクストリーム・メイク=オーヴァー(Extreme Make-Over)』で、ブラック・ダイクは、そちらでも100ポイント満点中、96ポイントという、エントリー9バンド中、最高点をゲット。セットとオウン・チョイスの両課題の合計が、194ポイントとなり、2位に7ポイント差をつける圧勝となった!)

今回の話は、ブラスバンドのために書かれたオリジナルをもとに、ウィンドオーケストラ編成用に新たなオーケストレーションを施して作り直し、それを市音が初演奏、初録音するというプロジェクトだった。

その経緯については、2006~2007年、《樋口幸弘の「ウィンド楽書(ラクガキ)ノ-トファイル」ファイル・ナンバー14》として、以下の7編をバンドパワーに寄稿したことがある。

File No.14-01:作品ファイル

File No.14-02:ピーターからの一通のメール

File No.14-03:市音への最初のアプローチ

File No.14-04:原曲スコアと初演の第一印象

File No.14-05:ウィンド・オケ版、産みの苦しみ

File No.14-06:動き始めた録音プロジェクト

File No.14-cd:CD & DVDファイル

プロジェクトのきっかけとなったのは、2005年5月、“ヨーロピアン”の直後にピーターから届いたこの新作に関するメールだった。その要旨は、ブラック・ダイクの初演の大成功と当初からウィンドオーケストラ・バージョンの構想があり、それに関心を示すような楽団がはたして日本にあるだろうか、という質問だった。

当時、英国BBC放送の番組「リッスン・トゥー・ザ・バンド(Listen to the Band)」をネットを通じて愉しんでいた筆者は、ブラック・ダイクの優勝ライヴを聴いて“凄い音楽だな!”と感じていたので即行動開始。すでにピーターの『ハリスンの夢』と『ザ・レッド・マシーン(The Red Machine)』を手がけていた市音に、まず打診した。

その結果、ブラスバンド版スコアを見た市音はたいへん大きな関心を寄せたものの、当時の市音は“大阪市”という行政組織の一部であり、年度内にウィンドオーケストラ版を委嘱するための新たな予算を計上することが不可能であることが判明。紆余曲折の末、筆者が委嘱し、作曲者立会いのもとでレコーディングが実現する運びとなった。

そして、その経緯から、たいへん名誉なことに、出版スコアの扉に以下のようなピーターの献辞が印刷された。

This wind transcription was commissioned
by Yukihiro Higuchi.

The premiere recording was given by the
Osaka Municipal Symphonic Band (Japan)
with Kazuyoshi Akiyama, Conductor, February 2006

(このウィンド版トランスクリプションは、樋口幸弘によって委嘱された。初の録音は、2008年2月、指揮者の秋山和慶と大阪市音楽団(日本)によって行なわれた。)

しかし、それからしばらくたって、市音プログラム編成の田中 弘さんから電話があり、この献辞が思わぬ事態を巻き起こしていることが判明した!

なんでも、市音のメンバーが吹奏楽コンクールの審査員として行った先々で『地底旅行』を聴いて審査したが、その際、プログラムに印刷されている編曲者の名前が筆者だったことにみんな驚いたのだそうだ。しかも、正しく実名だったので!!

またもや青天の霹靂だ!!

天地神明に誓ってまったく身に覚えがない筆者は、『そんなことで“小遣い稼ぎ”をしているようなヒマはないよ。』と笑い飛ばした。田中さんも、『そうでしょうね。どうもおかしいと思って電話したんです。』と笑う。

そのとき、ピーンときた。ひょっとしてスコアの扉の英文の“commission(委嘱する)”という動詞を訳せなかった(訳さなかった)のじゃないのか!?

オー!!無実だ!!ガセだ!!冤罪だ!!

お願いだから、辞書を引いてくれ!!

▲スコア(ウィンドオーケストラ版)- Journey to the Centre of the Earth(英Gramercy Music、2006年)

▲同上 – 扉

▲▼レコーディング風景(八幡市文化センター大ホール(京都府)、2006.2.8)

▲セッション・ルーム風景動画(八幡市文化センター大ホール(京都府)、2006.2.8)

▲ピーター・グレイアム・インタビュー(撮影:バンドパワー 鎌田小太郎)、2006.2.7)

【コラム】富樫鉄火のグル新 第277回 第1回大島渚賞

 わたしが初めて観た大島渚の映画は『ユンボギの日記』(1965)だった。1970年、小学校6年生のときだった。中野公会堂で、山本薩夫監督の記録映画『ベトナム』(1969)と2本立てだった。反戦団体による自主上映会だったと思う。原作本が、学校の図書室にあったので、題名だけは、前から知っていた。親友のオカモトくんと2人で行った。もちろん、自主的に行ったのではなく、担任の先生に薦められたのだ(当時の中野区は革新区政で、日教組全盛時代だった)。先生から無料入場券のようなものをもらったような気がする。

 これは、朝鮮戦争後の韓国における、貧困少年の日常を描く、フォト・ドキュメントである。小松方正のナレーションが強烈で、何度となく「イ・ユンボギ、君は10歳、韓国の少年」と執拗に述べられる。それが脳内にこびりついてしまい、「オカモトヒロト、君は12歳、中野の少年」などとからかいながら帰ったものだ。
 しかし、なにぶん全編がモノクロ写真静止画なので、小学生にはつらく、観ていて「なんだ、動かない映画なのか」と、がっかりした記憶がある

 ところが、大人になって、関連資料を読んで驚いた。あの写真は、

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第276回 東京佼成WO、中止公演のプログラム解説

はじめに

 4月29日に予定されていた、東京佼成ウインドオーケストラの第148回定期演奏会(東京芸術劇場)が中止になりました。
 たまたま、わたしは、当日のプログラム解説の執筆を依頼されており、第一稿を同団事務局へ送った直後の中止決定でした。

 この日の演奏会は、人気指揮者・飯森範親さんの「首席客演指揮者」就任記念、かつ、同団の創立60年にあたる新シーズン幕開けの、2つのお祝いをかねていました。
 よって、開巻の祝典曲以下、吹奏楽オリジナルの名曲で統一された、たいへん意欲的な内容です。
 飯森さんはもちろん、団員諸氏もスタッフも、なみなみならぬ力の入れようでした。
 そのような記念すべき場を飾る原稿を書けたことは、音楽ライター冥利につきる思いでした。

 残念ながら演奏会は中止になりましたが、ここに、同団事務局の許可を得て、当日、会場で配布される予定だったプログラムの、楽曲解説全文を掲載いたします。
 なにぶん、校閲以前の荒っぽい第一稿につき(初校ゲラで、もう少し削る予定でした)、間違いがあるかもしれません。
 しかし、開催されていれば、どのような演奏会になっていたかを感じていただく、せめてもの縁(よすが)になれば幸いです。

 あらためて、飯森範親さんの首席客演指揮者就任、および、東京佼成ウインドオーケストラ創立60年に、衷心よりお祝いを申し上げるとともに、一刻もはやい活動再開を願ってやみません。

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【コラム】富樫鉄火のグル新 映像に頼らなかった『ナウシカ』

 新型コロナ禍で、のきなみコンサートや芝居が中止になっているが、映画館は、なんとか開館しているところが多い。そこで、METライブビューイングで、ベルクのオペラ《ヴォツェック》を観てきた。
 《ヴォツェック》といえば、1989年のウイーン国立歌劇場の来日公演が、忘れられない(クラウディオ・アバド指揮、アドルフ・ドレーゼン演出)。舞台セットもリアルで、「現代演劇」を思わせる、素晴らしい上演だった。
 今回のMET版は、“ヴィジュアル・アートの巨匠”ウィリアム・ケントリッジの演出。このひとは、METでは、ショスタコーヴィチ《鼻》、ベルク《ルル》につづく3回目の登場である。毎回、抽象的なセットを組み、不思議なドローイング・アニメを舞台全体に投影する。ああいうのを「プロジェクション・マッピング」と呼ぶのだと思う。
 しかし、わたしのような素人にはどれも同じに見え、過去2作と、大きなちがいを感じなかった。常に舞台全体になにかゴチャゴチャしたリアル映像が投影されているので、演技や歌唱にも没入できなかった(主演歌手2人は素晴らしかった)。

 最近の芝居は、舞台上にリアルな映像を投影する演出が多い。

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■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第117話 ピーター・グレイアムとの交友の始まり

ピーター・グレイアム(本人提供)

▲スコア – The Essence of Time(英Rosehill Music、1989年)

CD – The Essence of Time(英Polyphonic、QPRL 047D、1991年)

▲QPRL 047D – インレーカード

スコットランド生まれのイギリスの作曲家ピーター・グレイアム(Peter Graham)も、筆者の音楽観に大きな影響を及ぼした作曲家のひとりである。

彼との交友は、実は、1990年(平成2年)6月に2度目の来日を果たしたジョン・フォスター・ブラック・ダイク・ミルズ・バンド(John Foster Black Dyke Mills Band)(当時の正式名称)の公演準備の最中に始まった。

第42話 ブラック・ダイク・ミルズ・バンド日本ツアー1990》でもお話ししたが、このツアーの主催者は、1984年(昭和59年)の初来日の際と同じ、東京のブージー&ホークス社。当時、筆者は、同社代表取締役の保良 徹さんの意向を受け、企画当初からそれに参画していた。

同社からは、公演プログラム用の原稿の執筆も依頼されており、東京藝術大学の山本武雄さんが「ブラス・バンドの魅力」という読み物を、筆者が演奏楽曲の「プログラム・ノート」を書くことになった。

その執筆過程でピーターとのやりとりが始まった訳だ。

というのも、ツアーが計画に上がったちょうどこの頃、イギリスでは、フィリップ・スパーク(Philip Sparke)やエドワード・グレッグスン(Edward Gregson)といった新進気鋭の若手作曲家たちがつぎつぎとブラスバンドのための意欲的な新作オリジナルを発表するようになった、いわゆる“ブラスバンド・レパートリーの変革期”と重なっており、ツアー前年の1989年に弱冠32歳という若さでブラック・ダイクのプロフェッショナル・コンダクターに就任したデヴィッド・キング(David King)も、公演レパートリーに、そんな新しいオリジナル作品や委嘱新作を盛り込んできた。

言い換えれば、日本でまだ演奏されたことがない、あるいは誰も聴いたことがない、そんな“楽曲解説者冥利”につきるような作品がズラリと並び、その中に、ピーターの『エッセンス・オブ・タイム(The Essence of Time)』という作品があった。

当然、日本国内には作品についての資料はなく、録音資料もなかった。

ただ、この作品は、来日直前の1990年5月5日(土)、スコットランドのファルカーク・タウン・ホール(Falkirk Town Hall)で開催され、キング指揮のブラック・ダイクが優勝を飾った“ヨーロピアン・ブラスバンド選手権1990(European Brass Band Championships 1990)”のセット・テストピース(指定課題)として書かれた新作としてすでに注目を集めており、指揮者のキングとしても、ブラック・ダイクがオウン・チョイス・テストピース(自由選択課題)として演奏したフィリップ・スパークの『ハーモニー・ミュージック(Harmony Music)』とともに、日本の聴衆にぜひとも聴いて欲しいと考えていた作品だった。

スコアを読むのにも、自然と力が入る。

さて、この『エッセンス・オブ・タイム』のスコアのト書きには、「すべてのものには季節(時)があり、すべてのわざには時がある」に始まる旧約聖書「伝道の書(コヘレトの言葉)」第3章の引用があり、作品のモチーフとして、“生るるに時があり”、“死ぬるに時があり”、“踊るに時があり”、“愛するに時があり”、“憎むに時があり”、“悲しむに時があり”、“戦うに時があり”、“和らぐに時がある”と、8つの時(とき)が選ばれていた。

聖書を題材にするあたり、さすがは、ロンドンの救世軍リージェント・ホール・バンド(The Salvation Army Regent Hall Band)のバンドマスター(1987~1991)をつとめた人物の作品だ。クリスチャンではない筆者は、ト書きを読んだ後、すぐ聖書を買いに走ったが、もちろん短期間でそれを読み解く能力など、ある訳なかった。

しかし、一種の変奏曲として書かれているこの作品のスコアリングは、ひじょうにクレバーに書き進められていて、繊細かつ緻密。ハーモニーも斬新で、その後、来日したブラック・ダイクによるナマ演奏を実際に聴いたとき、クライマックスのハーモニーが鳴り響いている中、不覚にも涙が頬を伝わるほどの、深い感動を覚えた。

プレイヤーも自然な流れの中に高揚していくのが手にとるようにわかる。

正しく“ブラスバンドって、こんなにハートに響くんだ!”と思わせてくれた作品のひとつであり、その後、ミュージカル・スーパーバイザーをつとめさせていただくことになる大阪のブリーズ・ブラス・バンドでも定番レパートリーとなった。

筆者の中では、ブラスバンド・オリジナルのベストのひとつであり、忘れ得ぬ名曲のひとつである。

しかしながら、日本の大方のウィンド・ミュージックのファンが最も大きな衝撃を受けたピーターの作品というと、それはやはりアメリカ空軍ワシントンD.C.バンド(The United States Air Force Band, Washington D.C.)の委嘱で書かれた『ハリスンの夢(Harrison’s Dream)』(2000)だったのではないだろうか。

デーヴァ・ソベル(Dava Sobel)著の「Longitude(経度)」に描かれている18世紀の英国の時計技師ジョン・ハリスン(John Harrison)が作り上げた渡洋航海時に必要な経度が測定可能な“クロノメーター”と呼ばれる精巧な機械式時計とその製作者の人生をテーマとするこの作品については、2002~2008年にかけて、《樋口幸弘の「ウィンド楽書(ラクガキ)ノ-トファイル」No.12》というタイトルで、以下のような全15編を「バンドパワー」に寄稿したことがあった。

File No.12-01:作品ファイル

File No.12-02:深夜のCD鑑賞会

File No.12-03:はじめてのカタログ

File No.12-04:幻に終わった日本語ホームページ計画

File No.12-05:アッという間に読破してしまったソべルの原書

File No.12-06:始動!! 大阪市音楽団

File No.12-07:これは、一生の宝物だ!!

File No.12-08:BPラジオ計画スタート

File No.12-09:コーポロンが!! ハンスバーガーが!!

File No.12-10:青天のへきれき!! アメリカで出版決定!!

File No.12-11:ついに届いたアメリカ空軍のオフィシャルCD

File No.12-12:日本初演直前、作曲者来日ガセ情報飛び交う!!

File No.12-13:BPラジオ初放送と市音による日本初演

File No.12-14:演奏グレード表示、“Grade 7”の謎

File No.12-15:誕生秘話とコンポーザーズ・ノート

今、読み返すと、ほんと“若気の至り”と恥じ入るばかりだが、逆にその当時に起こった数々の出来事と現場の緊迫感がそのままストレートに文字になっている。

登場人物も、指揮者陣から、ロウル・E・グレイアム(Colonel Lowel E. Graham)、ユージン・コーポロン(Eugene Corporon)、ドナルド・ハンスバーガー(Donald Hunsberger)、フレデリック・フェネル(Frederick Fennell)、ダグラス・ボストック(Douglas Bostock)など、盛りだくさん。バンドの方も、作品を委嘱したアメリカ空軍ワシントンD.C.バンドのほか、日本初演を行なった大阪市音楽団、シカゴにこの作品を持っていった東京佼成ウインドオーケストラと、キャストについては文句なしだ。

多少脱線気味のところもあるが、作曲者自身の出版社であるイギリスのグラマーシー(Gramercy Music)から出版されるはずだった『ハリスンの夢』が、なぜアメリカのワーナー・ブロス(Warner Bros.)に変更になったかについても触れてある。

作品のバック・グラウンドに関心のある方は、お読みいただければと思う。

しかし、その中で、最も記憶に残るとんでもなく迷惑な話は、2002年(平成14年)11月8日(金)、大阪のフェスティバルホールで開催された「大阪市音楽団第85回定期演奏会」(指揮:秋山和慶)で『ハリスンの夢』が日本初演される直前、東京の練馬界隈から流れ出した「日本初演を聴きにピーターが来る」という怪情報を描いた、「日本初演直前、作曲者来日ガセ情報飛び交う!!」(File No.12-12)だろう。

これは、情報をきちんと確認しなかったさる音楽関係者が、東京佼成ウインドオーケストラの事務局に、『こんど大阪に、ピーター・グレイアムが“ハリスンの夢”の日本初演を聴きに来るって知ってる?』と軽いノリで連絡を入れたことがきっかけとなっている。“らしい”ではなく、“確かな”ネタとして。

実は、その年の暮れ、東京佼成ウインドオーケストラは、アメリカのミッドウェスト・クリニックに出かけてこの曲を演奏することになっていた。なので、突如聞いたこのおいしいネタに、当然、事務局は大騒ぎ!

話はアメリカ行きに帯同する佼成出版社にもすぐに伝わり、急遽、楽団と出版社の計4人で“大阪詣で”を挙行することが決定してしまった!

当然、大阪市音にも東京佼成から電話連絡が入る流れとなり、寝耳に水の市音でも大騒ぎとなった。

2002年10月15日(火)のことである。

そして、きっと“ヤツに訊けば、詳細が分かるかも知れない”ということだったのだろう。まず、佼成出版社の水野博文さん(後に社長)から、ついで市音の延原弘明(後に団長)から、ピーター来日を確認するための電話がたて続けに入った。

青天のへきれきとは正にこのことだ。驚いた筆者は、『初耳です!』とだけ答え、連絡をとって本人に確認し返答することを両者に約束した。

返信はすぐにあった。

『ディアー・ユキヒロ。これは奇妙なことだ。というのも、数分前、同じ内容のメッセージをダグラス・ボストックから受け取ったところだったからだ。しかも、ソルフォード(ピーターが教鞭をとっていた音楽大学)の私の教え子がそう言ったという内容だった。残念ながら、それは事実ではない。どうしてそんな噂がたったかは知らないが、たぶん数日前のことだろう。実際、大学の日程が一杯で、とても無理な話なんだが・・・。』 

渡米直前の東京佼成ウインドオーケストラが、12月10日(火)に東京文化会館大ホールで行なう「第75回定期演奏会」でこの曲を指揮する予定のダグラス・ボストックの耳にも、この話は入っていた。

まったくのガセだった!!

調べると、この話は、東京ではものすごい勢いで拡散されており、多くの人を興奮させていた!

日本では、なぜこのようなことが起こるんだろう!?

▲チラシ – 大阪市音楽団第85回定期演奏会(2002年11月8日、フェスティバルホール)

▲プルーフ・スコア – Harrison’s Dream(大阪市音楽団用)(英Gramercy Music、2002年)

▲プルーフ・スコア – Harrison’s Dream(筆者用)(英Gramercy Music、2002年)

▲CD – Signatures(The United States Air Force Band、BOL-0202、2002年、非売品)

▲BOL-0202 – インレーカード

【コラム】富樫鉄火のグル新 第274回 オペラ《疫病流行時代の祝宴》

 ロシア5人組のひとり、セザール・キュイ(1835~1918)は、軍人が本業で、作曲はあくまで余技だった。だが彼は、5人組のなかではもっとも長寿で(ロシア帝国時代に生まれ、ソ連成立直後に83歳で亡くなった)、膨大な数の作品を残している。
 一般クラシック・ファンに知られる作品は少ないが、そのなかに《疫病流行時代の祝宴》なる恐ろしい題名のオペラがある(《ペストの時代の祝宴》などの邦題もあり)。
 1901年初演、30分ほどの、1幕ミニ・オペラである。

 原作はプーシキンの戯曲だ(邦題『ペスト蔓延下の宴』もあり)。
 元ネタはスコットランドの作家、ジョン・ウィルソン(1785~1854)の戯曲『ペストの都市』全3幕で、このなかの1場を取り上げ、書き換えたという。
(余談だが、プーシキンの原作は、「小さな悲劇」と題された4部作シリーズのなかの第2部。第1部にあたるのが、『アマデウス』の元ネタとなった『モーツァルトとサリエーリ』で、これはリムスキー=コルサコフがオペラ化している。第4部『石の客』もダルゴムイシスキーがオペラ化した)

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■2019ミッドウエスト・クリニック;光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部

日本の高校生バンドとして初めてサドラー賞を受賞した光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部の2019年ミッドウエスト・クリニックでのライブ盤がマーク・カスタムより発売。収録されているのは、同校が委嘱し、その後、大ブームを巻き起こしたマッキーの「翡翠」をはじめ、2019年の全国大会でも話題となったアラルコンの「インヴォカシオン」など、全10曲。詳細などは以下の通り。

■2019ミッドウエスト・クリニック;光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4575/

・演奏団体:光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部
・指揮者:日野謙太郎、仲田守、ジェイソン K.フェティグ大佐、ジェリー・ジャンキン
・収録:
・発売元:マーク・カスタム(Mark Custom)
・発売年:2020年

【収録曲】

  1. ヴィクトリー/ロッサーノ・ガランテ
    Victory/Rossano Galante
  2. ディア・ステファニー/ジェレミー・ライドヘッカー
    Dear Stephanie/Jeremy Leidhecker
  3. ピース、ピースと鳥たちは歌う/伊藤康英
    Peace, peace so Sing the Birds/Yasuhide Ito
  4. インヴォカシオン ~「エル・プエルト」を元にして~/ルイス・セラーノ・アラルコン
    Invocacion (Revistando el Puerto)/Luis Serrano Alarcon
  5. ラムズ・マーチ/ジョン・フィリップ・スーザ
    The Lamb’s March/John Philip Sousa
  6. スイート・フォーティーフォー/チャンドラー・L・ウィルソン
    Suite Forty-four/Chandler L. Wilson
    Mvt.I
    Mvt.II
    Mvt.V
  7. 富士山/アンソニー・ディロレンゾ
    Fujisan/Anthony DiLorenzo
    トランペット:ジェンス・リンデマン
  8. 翡翠/ジョン・マッキー
    Kingfishers Catch Fire/John Mackey
    Mvt.I
    Mvt.II
  9. クリスマス・マーチ/エドウィン・フランコ・ゴールドマン(編纂:マーク・ロジャース)
    Christmas March/Edwin F. Goldman (ed. R. Mark Rogers)
  10. 神ともにいまして(arr.後藤 洋)
    God be With you Until We Meet Again/arr. Yo Goto

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https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4575/

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